世界の塩とその原料

世界中のどこでも、塩は人々の必需品。それぞれの土地の資源を利用し、
気候や風土を活かして、各地でユニークな塩が造られています。
海がなくても塩はできる!?
 塩は、海がもたらす恵みです。といっても、世界中で1 年間に造られている約2億8,000万トン(2011年)の塩のうち、海水を原料としているのはその4分の1程度にすぎません。海のない場所でも塩造りができるのは、長い長い地球の歴史の中で地殻変動などが起こり、海水が岩塩や塩湖などに形を変え、いたるところに存在しているからです。
世界の塩を見てみよう!
原料<岩塩>  岩塩
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原料<岩塩>岩塩
 大昔の地殻変動によって陸上に取り残された海水が、長い年月をかけて蒸発して固まった“海の化石” 岩塩は、世界で最もポピュラーな原料(世界の生産量の約60%)です。鉱脈から直接削り出したり、岩塩層をいったん水で溶かして汲み上げたりして採掘します。採掘された岩塩は重金属などの異物を含んでいることが多いため、食用にするには精製作業が必要となります。
原料<塩湖>  湖塩
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原料<塩湖>湖塩
 塩湖とは、地殻変動などによって陸上に閉じ込められた海水が長い年月をかけて濃縮されてできた、乾燥した地域特有の塩分濃度の高い湖です。観光スポットとして有名な「死海」には、海水の約8 倍もの塩分が含まれています。塩湖から取り出した塩が湖塩です。
原料<海水>  海塩
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原料<海水>海塩
 日本で採れる唯一の塩資源である海水。地球の表面積の約70%が海ですから、ほぼ無限に調達できます。海水中に含まれるわずか3%の塩分を、水分を蒸発させたり脱水させたりして取り出したものが海塩です。蒸発・脱水する方法の違いで、「天日塩」と「煎ごう塩」に分類されます。
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写真提供:たばこと塩の博物館
天日塩
 海水を塩田に引き込み、太陽熱と風によって水分を蒸発させて塩にします。日射量が多く雨の少ない乾燥した気候と、塩田をつくるための広大な土地が必要です。天候に左右されることが多いため、均質化がしにくいのが難点です。
煎ごう塩
 日本で主に行われている製塩法です。塩水を濃縮した「かん水」をいわゆる釜で 加熱し、水分を蒸発させて塩にする製法です。昔は鍋状の釜でかん水を煮詰めてい ましたが、多大なエネルギーを要するため、現在では主に効率よく水分を蒸発させ るように釜に蓋をしたタイプの「真空蒸発缶」や「加熱式蒸発缶」が用いられています。